二人の出会いは、ブレスの養父ロイに引き合わされたものだったが、次に再会した時、アイラはその存在すら覚えていなかったようだった。
「……俺、嫌われてませんか」
幼くも尊い少女を目の前に、ブレスは僅かに眉をひそめた。
護衛としてこれからたびたび行動をともにすると、先輩騎士とともに説明をするために中庭で対面してのことだった。
「いや、うん、どうだろうね」
「そうとしか思えないんですが」
仲介する騎士は曖昧に笑うが、アイラは柱の裏に逃げ込んで隠れてしまって出てこない。
初めて会ったあの時は、愛らしい微笑みを見せてくれたのに。
「睨まれてますけど」
それも、物凄く。
碧の瞳が時折覗くけど、親しみなんて見られず、あどけない顔に似合わない険しい表情をしているようで。
「王女」
それでも彼は、嫌われようと仕え続けようと、傍にいると、誓う。
アイラの前まで歩み寄ったブレスは、怯えさせないようゆっくりと屈み、地面に膝をついた。
「俺はあなたを護ると誓います」
何があろうと、どう思われようと。傷付ける者からは身体を張って守り、辛いこと悲しいことが起きようとすぐそこに控えて。
「――我が王女」
それから五年近くが経ち、ブレスが正式にアイラ付きの騎士となっても。
彼女の彼への態度は変わらず、ますます頑なになるばかりだった。
その関係が、ゆっくりとゆったりと、変化していくのは、まだ先のことだった。
NOVEL