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ぼんやりと日が暮れてゆくのを見るのが、暇な日の日課のようになっていた。
意味なんてない。なんとなく好きという、それだけだった。

「ブレス」

背後から掛けられた声に、遠い空から視線を一転。彼は座ったままその人物を見上げた。

「親父」

呼び掛けに、父親であるロイは楽しそうな笑みを浮かべると、軽く片手を上げて見せた。
その腕に抱え、背に負った、まだ幼い子供がずり落ちそうになって、ブレスは僅かに顔をしかめた。

「重いだろう。一人貸せ」

そんなことはないだろうが、落とされたりなどしたら困る。
どこか少し不安げな息子の表情に、ロイは背負っていた方の少年を渡し、また笑った。

「まあ、なんと言うか、何気ない日常が幸せってのは素晴らしいもんだな」

抱える幼子を揺すり上げ、しみじみとした口調でロイが言うから、ブレスは訝しげな赤い目を向けた。
隣に腰を下ろしたロイは、笑みを見せるばかりでそれ以上は喋らなかった。
ただただ、腕の中の小さな存在を、愛おしそうに見つめて。だから、ブレスも何も言わずに。

ロイは、誰にも好かれる人間であるのに、家庭を持たなかったから。
養い子であるブレスが妻子を持ったことが、何より嬉しかったのかもしれない。
彼と血の繋がる者は誰もなくとも、確かに自分の家族だと、彼は感じていた。

「長生きしなくちゃなぁ」

ロイの腕の中には、母親似の金髪の男の子があどけない顔をして眠っていて。
ブレスの腕には、両親のどちらとも違う、だが父親の遺伝だと彼らにはわかっている黒髪の男の子が、こちらもまた眠っている。

「ああ」

長生きを、してもらわなくては。
このまだ幼い子供たちが成長していく姿を見てもらわなくてはならないし、気まぐれで拾った息子は立派になったと、そう思ってもらえる日がくるまでは。

「ブレス、お義父さま」

鈴の音のような声が、二人を呼ぶ。視界に満ちていたあたたかな色彩は、すでに暗がりに吸い込まれて消えていた。
だから彼らは腰を上げ、子供たちを抱え直しながらその声のもとに向かった。
――子供たちが風邪を引いてしまうと、彼女に叱られる前に。













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