城内図書館は、いつになくざわついていた。
それもそのはず、いつもはいるはずのない王女アイラがいて騎士たちとともにバタバタと調べ物をしているのだから。
最近ちらちらと姿を見せてはいたが、今日はいつになく慌しい。
書官を目指す学生たちは落ち着かない。
「それらしいものはないわね……」
皆が呟きため息を吐く。今回は以前とは違う記事を情報紙から探している。
不可思議な事件についてだけでなく、異国のことも含め。けれど前回同様何も出てこない。
国を行き来する際にはチェックなどはするのだけれど、その中にもそれらしいものはなく、不法入国かもしれない。
ヤマトは外で情報を集めている。部外者をそう簡単には中へ入れられないためだ。
「勝手に入り込む人もいるけど」
「やめてよオルス。……縁起でもない」
聞くだけで疲れるというようにアイラは深々と息を吐く。
「何ソレどーゆーことよ。俺ってこんなにステキなのにー」
「あああっ幻聴が聞こえるっ」
「本当に来てるよ、アイラさま」
恐る恐る顔を上げると……銀の髪。相変わらず中途半端な長さだ。
「よお! 呼んだ?」
にこやかにシライザが片手を上げるが、手にしていた本を剣のようにブレスに突きつけられる。
「呼んでない、寄るな」
「ぶうっ」
「可愛くないよ」
「オルスまでーっ」
わざとらしく傷ついて、いいよいいよと飛んでいく。今度はもう一人の少女の方へ。もちろん魔導の力を使って。
本棚の間を器用に進み、その姿を見つけ笑みを浮かべ名を呼ぶ。
「メーイーファー」
「あら、シライザ」
「ひっさしぶりーっ」
「本当に」
その声は少女ではなく。彼女の肩を抱き寄せ、にこりと笑いながらも二人の間に割って入ったルークだった。
「久しぶりだな、シライザ。半年も経ってはいないけれど。一体何の用だ?」
「あらま、笑顔が素敵に怖いねェ、ルークスくん」
「シライザ」
「そりゃー遊びに――」
「何故」
「メイファに会い――」
「帰れ」
笑顔そのままの表情で。簡潔な言葉。
そんな彼らの様子にメイファは苦笑する。
「――ったく、そんなじゃそのうち嫌われっぞー?」
「余計な世話だ」
親しいからこその軽口といった感じだろうか。わかっているからこそ互いに言い合うのだ。
シライザは拗ねて見せ、今度はレイシアに絡む。
ふと、少年が浮いた彼を見上げた。
「折角来たんならさ、何か知らない?」
「んー?」
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