巡り合ったのは成人するよりも昔。四年か五年か。それとも三年か六年か。
もう時間なんて何もわからない。
あの頃――誰より強いと思っていた己。
あの時――死とも感じる敗北。
戦って戦って戦って、勝ち抜いて、そうして騎士になると決めていた。
それが、その命とも言うべき夢が、一瞬にして破れた。
あまりにも突然で、理解することが出来なかった。
――この手は。この心は。
何も感じなくなってしまったのか。あまりに穢れて。
闇が押し寄せる。飲み込まれてしまう。腕も脚も絡め取られ。
同化してしまう。闇に。
狂ったように剣を振った。振り続けた。
――狂っていたのかもしれない。
何もかもがどうでもよくなっていた。
ただ、その一人を倒すことだけを目指して。
その思いは……倒したかったのか、殺したかったのか。
差し込む光はあたたかかった。気持ちがよかった。
けれど、居心地の悪さも感じていた。
細く照らすそれは、なのに眩しすぎて。目が眩む。立っていられなくなる。
縋るように手を伸ばすと握り返してくれる手はあって。
それは、夢。幻だ。
この自分が何を望めるという……
何度も何度も、不意打ちをしてでも、斬りかかり襲いかかった。
けれど勝てなかった。
打ち負かされ、殺す気でいったのに、生きて帰された。
殺す気で……死ぬ気で、いたのに……
剣の腕では勝てないのか。何をしてもいつまで経っても無理なのか。
――もう、騎士道なんてものはなかった。
落ち着いていた。
闇の中とは違う心地よさに慣れていた。
このままいたい、このままでいられたら、と思って。
そこに―――――あの話を聞いて。
揺れた。全てのものが、揺れた。
変われるはずなどないのだと、許されるものではないと、言われたようで。
何でもしよう。何でもしてやる。何でも。何でも……!
取り巻く全てを捨てた。この思い以外の何もかも。
命すら惜しくないと思った。――あいつを、壊すためなら。
……けれど何故怯えているのだろう。
目の前に見える刃に、冷たい瞳に、震えた。
ああ、俺は――
―――あいつに殺されたかったのか……
いくら苛立っていたからって、これじゃあ八つ当たりだ。
こんなのはイケナイことだ。
仲間を守るため。なんて、言い訳だ。
捕らえることだって出来たはず。殺してしまうのは、最終手段にして。
――ざわりと生温い空気が髪を撫でる。
このままじゃ、あの男と変わらなくなってしまう。
あの、忘れたくても忘れられぬ、あの―――――――……
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