「アイラさま……っ!!」
ノックをした瞬間慌しくドアが開けられ、飛びつかんばかりのホーリスに出迎えられた。
「皆さま、おかえりなさいませ。ご無事で……何よりです」
目を赤くしたその表情に、アイラは笑顔で応えた。
――アイラが囚われ、皆がバラバラになっている時のことは、全員一致しない。
それぞれ話を聞かせてほしいと言うアイラに、
「それなら、馬に揺られながらでも」
とルークが提案し、四頭の馬は出発した。
先頭を行くのはレイシア。背後では、まずブレスたち三人の話をしている。
話し手は、ブレスやオルスが務めるわけもなく、もちろんルーク。
国の危機と聞き、アイラに送り出されてからひたすらに馬を駆り、馬を潰してしまった甲斐あってか、
城下に近い町リタニアにまで辿り着いた。
だが城に近づくほどに危険な気配はなく、平穏そのもの。常と変わらぬコールダリィであった。
これはおかしい、と再びイラテイトへ戻っている途中に。
「メイファさんに会ったんです」
「はい。もうお名前は出してますが、エイファルンさん、エイルさんに馬に乗せていただいて」
イラテイトの雑貨商、エイファルン=ガイン。優しく、時にいたずらっぽく笑う人だった。
騎士たちと合流を果たしたのは、カリヤという村近く。……まだイラテイトよりは城に近い場所だった。
「早く戻らなくちゃいけないのに、まだまだ時間が掛かる……」
「そう思っていたら、エイルさんが」
彼は、言ったのだ。
『メイファさん、力使えるよね』
驚く面々にエイルは首を傾げ、でも跳んだことはないのかな、と続けた。
とても自然で、当たり前のことのように。何故力のことを、と思ったが、落ち着いて気配を探ってみると、
彼にも何らかの力があるのを感じた。だからわかったのだと、メイファは知る。
普通力なんて使わないもんね、仕方ないか。と彼は呟く。
『だけど試してみたらどうかな? その価値はあると思うんだ』
迷うメイファに、彼は決め手になる一言を続けた。
『コントロールの手伝いはするよ』
と――。
「それで早く来れたのね?」
――沈む陽が、赤く大地を染め渡していく。
この季節、日暮れは日に日に早くなる。
「レイシア」
「はい、今日はあの村に泊まるんですね」
「ああ」
落ちないよう前にアイラを座らせたブレスの声に、レイシアは応じた。
さほど遠くはない場所に村が見えていた。
とりあえず今日は一晩の宿を探して休もう。
そんなに大きくはない村だから、宿屋はないだろう。王女たちには悪いけれど、
簡単に正体は明かせないのだから仕方がない。どこか空いている場所を貸してもらおう。
「別に構わないわよ。馬小屋だっていいし」
アイラが事も無げに言うものだから、周りの皆が驚いてしまう。
「アイラさま……?」
「いいのよ」
だって。
(一人じゃないもの)
<< back
next >>
NOVEL