とりあえず宿をとったメイファ、レイシア、ホーリスの三人は、話し合った結果、ホーリスを留守番に外へ出ることにした。
二人の間では、まだ結論は出ていない。
城のアイラの元へ戻る方法を考える。もしくは国に戻ったブレスたちと合流する術を。
とにかく彼らとは、どうにかして連絡を取らなくてはならない。
「やっぱりどこかで馬を借りるか買うかして、コールダリィに向かうべきなのかなぁ」
うーん、と考え言うレイシアに、メイファは何でもないことのように答える。
「だから言ってるじゃない。私が行くって」
「ダメだって言ってるだろ。それでもしメイに何かあったらどうするんだよ」
「その時はその時、よ」
「ってダメだってそれ……。ああでも俺が行ってメイ残るとしたら、今度は城に侵入しようとするだろうし……あああっ」
悩み頭を抱えだした少年に、一体何事だろう、と行き交う人がチラリと目を向ける。
二人はそれを気にしながらも、気に留める余裕などあまり持ち合わせていない為、思考の外へ追いやる。
「……レイ、あなた私をどう見てるの……」
「無鉄砲?って言うか、メイはアイラさまとかルークさんとかのことになると周り見えなくなるじゃないか」
「―――――レイのことでも、よ……」
「あ、そっか。……って違うっ、そうじゃなくって……二人で行くとしたら、うーんホーリス一人残すのも不安だしなぁ」
なんだか馬鹿な言い合いをしているような気もするが、本人たちは真面目、というか素だったりする。
無意識に落ち着こうとしての言動なのかもしれないが。
ううう……と悩みまくる弟に、メイファはくすりと笑う。
この子は人を心配性だ考えすぎだ真面目だと言うが、自分もそうだと気付かないのか。
「レイ。そんな所にいると他の方のご迷惑になるわ」
「……わかってるよ」
レイシアはちょっと膨れながら壁に寄る。
相変わらずチラチラと視線は向けられている。いつの間にか立ち止まっていたから尚。
――ここはイラテイト城下。城から距離をとりながらも離れすぎない場所にある。
店々から様々な客寄せの声が上がっている。布をはためかせている店もある。
ゆっくりと、メイファが口を開く。
「ねぇ、レイ」
「んー?」
「あなたたちと別れた後、私走り回っていたのよ」
それは聞かなくてもわかる、とレイシアは思った。そうでなければ彼女が主の元を離れた意味も理由もない。
「ホーリスと会うのに半日、あなたと会うのに一日。……途中で城内に入れなくなっているって
気付いたから、もしかしたらと思って、あまり城から離れないようにしてはいたけれど」
騎士をアイラから引き離し、それが嘘によって成されたのなら、と。自分も離されたということは。
(アイラさま……)
自分は馬鹿なのだ。今までに思っていた以上に。……簡単に踊らされて。
「本当はその間に馬を飛ばして真実を伝えられたらと思ったんだけど……無理だったの」
「そ――」
「そうだろうね」
突然の第三者の声に、二人は驚いて振り向いた。
やあ、と軽く手を上げる、おっとりした優しそうな青年。
男と呼ぶには少し抵抗を持ってしまうような、そんな人で、飴色の髪をしている。
「ごめんね、驚かせちゃって」
申し訳なさそうに、やんわりと微笑む。
「いえ、突然だったので……こちらこそすみませんでした」
「道の邪魔をしてしまってますよね。すみません」
「ああ違う違う」
移動しようとするレイシアたちに、男は両手を振って違うということをアピールする。
「馬がどうとか言ってたから。君、"サイール=デゼル"って店でも聞いてたでしょ?」
「あ、はい。急使便を兼業されているって雑貨店ですね」
「そう。そこのデゼルさんとは知り合いでね、詳しいことはわからないけど
国を渡る馬を何でもいいから探してる女の子がいるって聞いて。力になれるかはわからないけど、気になってたんだ」
「は、あ……」
戸惑いと不信感を見せる二人だが、彼は気にしていないのか、気付いていないのか、話を続ける。
「この国、どこか人を信じていないような所があるから。城に近づくほどにね」
馴染みの客にしか出さなかったり、特に今は検問が厳しかったりね、と。
「………」
「あ、僕はエイファルン=ガイン。デゼルさんと同業者で、たまに隣国に仕入れに行ったりもしてます」
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