メイファがいなくなって、一日が経った。気付けばホーリスもいない。
アイラに残っているのは数人の侍女、従者と、騎士のレイシアだ。
――そのはずだが。
「レイシア? レイシア、どこなの? ……………レイ?」
レイシアの姿までが見えない。
――イラテイトに来て、三日目の朝だった。
アイラは持って来ていたクッションを抱え、ベッドに座り込んだまま動かない。
(おかしい。)
と思う。強く思う。
到着してすぐに騎士たちがいなくなり、次に側近、次に侍女、そして最後の騎士。
自分に最も近い者が全員、次々と消えていった。後の三人は理由も何もわからない。
「違うわ。レイシアはちょっとどこかに行ってるだけかもしれないし。二人だってそのうち戻ってくるわよ。そうよ……」
口に出してはみるものの、不安と否定の言葉ばかりが残る。
……扉を叩く音がして、駆け寄り開く。
「レイシア? メ――」
「おはようございます、アイラさま」
「…………バロス、殿下…………」
こんな時に。一番見たくもない。――胸の悪くなるその笑み。
「おや、いけませんね。顔色がお悪いようです。大丈夫ですか?」
「……え、ええ」
バロスはとても楽しげに、上機嫌に笑む。
「では食事に参りましょうか」
「イ……レイっ!」
強く揺すられて、馴染むというよりは刻まれている声に呼ばれて、レイシアは目を開けた。
ぼんやりと、段々とはっきりとしてくる姿。自分以上に見慣れたもう一人の自分。
「……………メイ?」
息が触れる。安堵のため息だ。よかった、と呟きを聞く。
「どこも痛くはない?」
「あ、うん、何も……痛ッ」
「急に動くとダメですよ、レイシアさまっ」
頭を押さえるようにしていたレイシアを労わる声。少しかすれている。
「後頭部にコブが……殴られたような痕がありますから……」
「ホーリスっ。二人とも、どうして……?」
レイシアが二人の顔を見ると、メイファとホーリスはチラリと互いを見た。
「謀られたようですね……」
「な……っ」
「私もホーリスも、追い出されたみたいなの。中に入れないし、レイは倒れてたし……」
「――そうだ」
思い出した。
「俺、アイラさまの部屋を出た後誰かに襲われて……!」
「―――――」
これは、どう考えても。
ふらりと、レイシアは立ち上がる。
「戻らなきゃ……」
こんな所にいてはいけない。ゆっくりしている場合じゃないじゃないか。
(俺だって騎士なんだ。俺が守らなきゃならないのに。みんないないんだから……)
「……ブレスさまたちと」
「メイ?」
「ブレスさまたちと、どうにかして連絡は取れないかしら……」
「ブレスさん? どうして――」
メイファは、何故自分がアイラの元を離れたかを話した。
あの幼い少女のこと。嘘を言っているようではなかったこと。
自分はそれを信じると―――。
「計画的すぎる……アイラさまが心配だ」
もう逃がさない。あなたは私のものだ……!!
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